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自然に翻弄されたバブル崩壊後の日本

キーワードで振り返る平成30年史 第17回

■平成5年米騒動、平成6年渇水

 ちょうど1年ほど前、この項で平成5年の米騒動を取り上げた。〈キーワードで振り返る平成30年史 第4回〉あの米騒動の原因は梅雨明け後も続いた長雨と日照不足による記録的な冷夏にあったのだが、一方で平成年間には各地でダムが干上がるほどの記録的な空梅雨の年もあった。

 

 平成6年(1994年)の夏である。平成6年渇水(1994年渇水)と呼ばれる空梅雨と猛暑による水不足はほぼ日本列島全土に及び、各地でダムが干上がる。特に西日本ではその影響が大きく、取水制限はもちろん九州、中国、四国の各地では夜間はおろか長時間の断水が長期に渡って強いられる事態となった。

 平成6年は、既に平成3年にバブルが弾けていたとは言え、まだまだ市場も景気回復に関して楽観視していた時期。ちなみに国民が本格的にバブルの負の遺産を実感するのは平成9年の大手証券会社、都市銀行(いまならメガバンク)のまさかの倒産を経験して以降のこと。バブル期ほど大規模ではないにしろ企業も自治体も夏休みに合わせて様々な大掛かりなイベントを企画していた。

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後藤 武士

ごとう たけし

平成研究家、エッセイスト。1967年岐阜県生まれ。135万部突破のロングセラー『読むだけですっきりわかる日本史』(宝島社文庫)ほか、教養・教育に関する著書多数。


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